Fuga ひとり読書会 4 : Fuga 1 四声 C-Dur 分析4
前回は転調について詳しく見ていきました。今回は動機の並行・反行についてみていきます。
Fuga 読書会 1:Fuga 1 四声 C-Dur 分析1
Fuga 読書会 2:Fuga 1 四声 C-Dur 分析2
Fuga 読書会 3:Fuga 1 四声 C-Dur 分析3
Fuga 読書会 4:Fuga 1 四声 C-Dur 分析4
Fuga 読書会 5:四方山話
Fuga 読書会 6:Fuga 1 四声 C-Dur 演奏
Fuga 1 四声 C-Dur 分析4
動機の並行・反行についてはテーマの動機であるM1~M3についてを見ていきます。うちM3の並行・反行が中心的です。
楽節1の並行・反行
この楽節の主な特徴としては
- 曲中唯一変形ではないM1の反行がある
- M2の並行・反行がない
- M3の反行がないのは楽節1と3だけ
等が挙げられます。具体的に楽節1では下記のように動機の並行・反行が現れます。
①M1反行
- まずは4小節目にアルトとテナーによるM1の反行が現れます。音程の開始は短7度、終了は同度です。変形ではないM1の反行は曲中この一か所のみのため楽節1に特徴的なものです。
②6°M3並行
- ソプラノとテナーによる6°のM3並行です。これは曲中で頻発する形状ですのでここでは自己紹介として現れます。
楽節2の並行・反行
この楽節の主な特徴としては
- M3の並行・反行しかない
- 登場する並行反行はアルトとテナー間によるものだけ
等が挙げられます。具体的に楽節2では下記のように動機の並行・反行が現れます。
③3°M3並行
- アルトとテナーによる3°(10°)のM3並行です。楽節1では6°で登場したM3並行が楽節2では3°(10°)として登場します。
④M3反行
- アルトとテナーによる曲中初のM3反行が楽節2最後に登場します。音程の開始は増4度、終了は短3度です。
楽節3の並行・反行
この楽節の主な特徴としては
- M1の変形による並行・反行がある
- 曲中唯一M2の並行がある(M2の反行は曲中に現れない)
- 曲中唯一M3の並行・反行がない
等が挙げられます。具体的に楽節3では下記のように動機の並行・反行が現れます。
⑤3°M1並行(変形動機による)
- ソプラノとアルトによる3°のM1並行です。ただしアルトは変形M1を用いているため最終音程は完全4度になります。
⑥M1反行(変形動機による)
- アルトとバスによるM1反行です。ただしバスは変形M1を用いています。音程の開始は長6度(長13度)、終了はバスが変形で2度上行して短3度(短17度)です。
⑦3°M2並行(変形動機による)
- ソプラノとテナーによる3°(10°)M2並行です。ただしソプラノは変形M2を用いているため最終音程は減5度になります。曲中で唯一のM2の並行です。M2の反行は曲中に表れないためM2の並行・反行はここのみです。
楽節4の並行・反行
この楽節の主な特徴としては
- M3の並行・反行のみしかない
- 並行・反行が5か所と多い
- この楽節のみ並行・反行を連続した箇所がある
等が挙げられます。具体的に楽節4では下記のように動機の並行・反行が現れます。
⑧6°M3並行
- テナーとバスによる6°(13°)並行です。バスが絡む並行・反行はこの楽節ではここのみとなります。
⑨6°M3並行
- ソプラノとテナーによる6°並行です。
⑩M3反行
- ソプラノとテナーによるM3反行です。音程の開始は完全5度(完全19度)、終了は長6度(長13度)です。ここからM3が反行→並行→反行と連続しますが、この連続は楽節4特有のものです。
⑪3°M3並行
- ソプラノとアルトによる3°M3並行です。曲中最後の並行です。
⑫M3反行
- アルトとテナーによるM3反行です。曲中最後の反行です。音程の開始は減5度(減12度)、終了は短6度です。
今回はこれくらいにして次回は四方山話でもしようかと思います。
Fuga 読書会 1:Fuga 1 四声 C-Dur 分析1
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